施工会社を探す。
好きな庭の写真を集める。
とりあえず見積もりを取る。
どれも間違いではありません。
ただ、私が最初にやっていただきたいと思うのは、自分たちが庭や外構に使える予算を、ざっくりと決めることです。
そして、家を建てる場合は、建物の話がすべて決まってから庭を考えるのではなく、できるだけ早い段階から、建物と外構を一緒に考えていただきたいと思います。
庭や外構は、家が完成した後に余ったお金でつくるものではありません。
玄関までの動線、駐車場、境界、防犯、排水、雑草対策、家の中から見える景色まで含めて、初めて一つの住環境が完成します。
この記事では、初めて庭づくりや外構工事を考える方に向けて、予算の決め方、施工会社の選び方、相談するタイミング、見積書の確認方法について、私の経験を交えながらお話しします。
最初に、自分たちが無理なく使える予算を考えてみてください。
ただ、敷地条件や希望するデザインによって金額は大きく変わるため、一律に「外構は建築費の何%」とは言い切れません。
だからこそ、早めに概算を取ることが大切なのです。
そこで、予算を決めるとき、私は一つの目安として、
と感じる目一杯の金額から、ある程度余裕を持たせて考える方法をおすすめしています。
例えば、300万円以上になると精神的にも予算的にも厳しいと感じるのであれば、実際の計画は240万円前後を一つの目安にする、といった考え方です。
これは絶対的な計算方法ではありませんが、私自身が実際購買をする上で参考にしている、無理のない本音の予算を見つけるための一つの考え方(限界値2割削減算出法)です。
これは、私のこれまでの経験値で出してきた計算方式なので、あくまで参考程度に考えておいていただきたいのですが、実際外構工事では、工事が始まってから追加したいものが出てくることも少なからずあります。
また、予想していなかった地盤条件や排水の問題が見つかることもあります。
最初から限界いっぱいの予算を組んで冷や汗をかくよりも、ある程度の余裕を持たせておいた方が、安心して計画を進められます。
庭や外構は、家の設計が終わってから考え始める方が非常に多いです。
しかし、それではどうしても後手に回ってしまいます。
住宅展示場や建築会社へ行く前から、
という写真を、インターネットや雑誌、カタログ、街並みの中から集めてみてください。
写真は一枚だけでなく、気になったものをなるべく多く見せていただいた方が、施工者としても好みを理解しやすくなります。
ただし、集めた写真とまったく同じ庭ができるとは限りませんし、設計者として模倣をする事はできません。
敷地の広さ、建物との相性、高低差、日当たり、予算によって、実現できる形にカスタマイズし、あなただけのオリジナルの設計を組むことにこそ庭づくりの醍醐味があるのです。
重要なのは、写真をそのまま真似ることではありません。
その写真の何が好きなのか
を、施工者と一緒に見つけることが大事です。
和と洋の調和あるデザインが好きなのか、アンティーク調の伝統を感じる美しさが好きなのか、直線的なクールなデザインが好きなのか、自然に重きを置いたナチュラルな雰囲気が好きなのか。
お客様の好みを読み取り、敷地や予算に合わせて別の形で実現することが、設計者の提案力だと私は考えています。
施工会社の選び方について、自社に都合のよいことだけをお話しするつもりはありません。
ここでは、私自身が家を建てたときに、どのような基準で建築会社を選んだのかをお話しします。
私が重視したのは、次の点です。
私が選んだのは、地元で約100年続いている建築会社でした。
長く続いているから選んだのではありません。
昔ながらの在来技術を大切にしながら、新しいデザインや工法も積極的に取り入れていたことが決め手になりました。
歴史はあるけれど考え方は古くない。
この両方を持っている会社であれば、安心して任せられると感じたのです。
大手企業、地元企業のどちらが必ず優れているということではありません。
会社の規模や知名度だけで決めず、施工内容、保証、費用の内訳、担当者の説明、会社の姿勢を比較してほしいと思います。
施工会社と現地で打ち合わせをするときは、希望するデザインをお任せで頼るのだけでなく、暮らし方についても教えてください。
私たちが知りたいのは、例えば次のようなことです。
特に大切なのは、「これは絶対に嫌です」ということを伝えることです。
好みは、本人にもまだはっきり見えていないことがあります。
モダンな庭が好きだと思っていたけれど、話を聞いていくと、実際には天然素材や植栽を使った柔らかな空間を好んでいることもあります。
そのため私たちは、一つの希望だけで決めつけず、
こういう雰囲気も合うのではないでしょうか
という代替案もご提案します。
お客様が言葉にできていない好みや暮らし方を、会話の中から見つけることも、設計の大切な仕事です。
予算の中ですべての希望を実現できないことは、珍しくありません。
そのときに注意していただきたいのが、すべての工事を少しずつ安くして、全体を中途半端な状態にしないことです。
まず優先したいのは、日常生活に支障が出ない環境をつくることです。
例えば、
といったことです。
予算が足りないのであれば、最終的な完成形を決めたうえで、工事を何回かに分けてもよいと思います。
無理にすべてを完成させようとするより、必要な部分から確実につくる方が、長い目で見れば無駄な出費を抑えられます。
庭や外構工事を段階的に進める場合、工事の順番が非常に重要です。
よくあるのが、
まずカーポートだけ設置する
まず駐車場だけコンクリートにする
という進め方です。
もちろん、生活上必要であれば先に施工する場合もあります。
ただし、カーポートやコンクリートの駐車場は、敷地の入り口側につくられることが多いものです。
先に入り口を完成させてしまうと、後から庭の奥を工事するときに、重機や材料を運ぶ車両が入れなくなることがあります。
完成したコンクリートやカーポートを傷つけないために、大がかりな養生が必要になり、余分な費用がかかることもあります。
そのため、将来庭の奥側を工事する予定があるなら、先に奥側や外周を整えることも考えてください。
駐車場は、将来コンクリートにする予定であっても、最初は砕石を敷いて転圧し、ぬかるみや水たまりができない状態にしておく方法があります。
まず家周りや外周、防犯面を整え、その後に予算を確保して、駐車場やカーポート、ガレージを完成させる。
この順番の方が、工事がしやすく、結果的にコストを抑えられる場合があります。
私が現場で非常に残念に感じるのが、立派な家が完成したのに、外構へ回す予算がほとんど残っていないケースです。
建物に予算をかけることは、もちろん大切です。
しかし、外構や庭の予算をまったく考えずに建物の計画を進めると、家の周囲が土のままになり、雑草が生え、雨の日には泥で玄関や室内が汚れてしまいます。
せっかく立派な家を建てても、住環境全体として見ると、非常にもったいない状態です。
住宅ローンや建築予算の相談をするときには、
外構と庭のために、この金額は残しておきたいです
と、建築会社に最初から伝えてください。
外構予算が必要だと分かれば、建築会社側の提案や建物の仕様も変わる可能性があります。
家と外構を別々に考えるのではなく、敷地全体を一つの住環境として予算組みすることが大切です。
初めて現場を見るとき、私たちが特に確認するのは、敷地の高低差と工事車両の進入条件です。
敷地に高低差があれば、土留め、階段、盛土、残土処分などが必要になり、その分費用が増えます。
また、隣地との距離や道路の幅、重機が入れるかどうかも非常に重要です。
同じ内容の工事であっても、重機が使える現場と、人力だけで作業しなければならない現場では、必要な人員や工期が大きく変わります。
どのように材料を運び、どのように土を出し、どのような機械を使えるかによっても大きく変わります。
それを踏まえると、建物と造園外構を一つの建築と考えるのであれば、建築コストの大きなウエイトは土地選びが占めていると言えるかもしれません。
外構工事の見積書を受け取ったら、一つ一つの工事にどのくらいの費用がかかっているかを確認してください。
規模の大きな工事であれば、少なくとも、
などが、ある程度分かる形が望ましいと思います。
ただし、小さな工事まで細かく分けすぎると、項目が多くなり、かえって分かりにくい見積書になります。
そのため、小規模な工事では、材料費と施工費を含めて「一式」と表記する場合もあります。
「一式」と書いてあるから悪い見積もりというわけではありません。
不安な場合は、
この一式には、どこからどこまでが含まれていますか
と質問してください。
きちんとした施工会社であれば、内容を説明してくれるはずです。
予算を伝えると、その金額いっぱいで見積もられるのではないかと心配される方もいます。
私は、予算はある程度伝えた方がよいと考えています。
ただし、伝え方が大切です。
予算はここまでです。この中で、できる限り良い提案をしてください
と依頼してみてください。
まずは予算内で可能な限り希望を入れた案を見て、そこから必要性の低いものを引いていく「減算式方法」が良いと考えます。
最初から予算を低く伝えて駆け引きをすると、施工会社は安価で出来るように極力控えめな提案をする可能性があります。
その結果、本当は実現できたはずのデザインや素材の使い方が、最初から提案されないこともあります。
業者と駆け引きをするのではなく、限られた予算をどう使えば最も満足できるかを、一緒に考えることが大切です。
これから庭や外構工事を考える方に、最後に一つお伝えしたいことがあります。
家づくりが始まってから庭を考えるのではなく、まだどのような家に住むか決まっていない段階から、理想の暮らしついて調べてみてください。
今は、インターネットで多くの施工事例を見ることができます。
流行しているデザインを知ることも大切です。
ただし、今の流行だけにとらわれず、10年後、20年後にも美しいと感じられる、普遍的な価値についても家族で話し合ってください。
そして、施工会社に予算や悩みを隠す必要はありません。
業者は敵ではありません。
皆さんの夢を形にするためのパートナーです。
価格の駆け引きだけをするのではなく、友人に相談するように、本音で話し合える施工会社を選んでいただきたいと思います。
その関係をつくることが、後悔の少ない庭づくり、外構工事への最初の一歩です。
ある程度は伝えた方が、現実的な提案を受けやすくなります。「この予算の中で、御社のできる限り良い提案をしてください」と伝え、提案後に優先順位を整理するとよいでしょう。
まずは防犯、安全、雑草、泥はね、ぬかるみなど、日常生活に関わる部分を整えます。将来の工事を考え、重機や材料の搬入を妨げる駐車場やカーポートを先に完成させない方がよい場合もあります。
金額だけでは判断できません。基礎、鉄筋、コンクリートの厚さ、下地、排水、保証など、完成後に見えなくなる部分の仕様を確認してください。
基礎、排水、下地処理、安全性に関係する部分です。予算を下げる場合は、構造や施工品質を落とさず、材料のグレード、施工面積、デザインを見直すことをおすすめします。
庭づくりや外構工事は、最初に予算を決め、理想のイメージを集めるところから始まります。
新築の場合は、建物の予算をすべて決めてからではなく、建築計画の早い段階で外構費用も確保してください。
施工会社には、好きなデザインだけでなく、家族構成、将来の車の台数、趣味、庭作業が好きかどうか、絶対に避けたいことまで伝えることが重要です。
見積金額を比較するときは、金額だけでなく、基礎、鉄筋、下地、排水、保証、担当者の説明も確認してください。
そして、予算が足りない場合でも、基礎や安全性を削ってはいけません。材料やデザイン、施工面積を見直し、必要であれば工事を数回に分ける方法があります。
庭づくりに必要なのは、施工会社との駆け引きではありません。
10年後、20年後の暮らしまで一緒に考え、本音で相談できるパートナーを見つけることです。
小牧で創業81年 株式会社仲根石工造園
代表取締役 仲根弘志郎
一級造園施工管理技士
文化財石垣技術保存協議会 技術会員
小牧市の老舗造園会社の3代目として18歳から造園・石工の仕事に携わり、30年以上にわたり、個人邸の庭づくり、外構工事、駐車場拡張、石積み、公共工事、史跡・文化財の修復に従事。世界文化遺産の修復にも携わり、伝統的な石工技術と現代の施工管理の両面から、文化財の保存と継承に取り組んでいる。
完成時の美しさだけでなく、今ある庭木や庭石を生かしながら、使いやすさ、管理のしやすさ、将来の暮らしまで考えた庭・外構づくりを大切にしている。